Guarujá, Brazilで行われたInternational Union for the Study of Social Insects (IUSSI2018)に参加しました.
約25時間のフライトでくたくたになりましたが、たくさんの方と色々な生き物に会えました!ブラジルの冬はとても過ごしやすく、真夏の日本からしばし開放されました.
(もう日本からブラジルは行きたくない〜!)
Haruna Fujioka , Masato S. Abe , Yasukazu Okada,
“Ant circadian activity rhythms vary with social context and age”
Yasukazu Okada, Haruna Fujioka , Kazuki Tsuji , Alexander S. Mikheyev,
“Rapid modification of nutrition-related genes in response to social rank in monomorphic queenless ant”
ーー改変版旅行記・JIUSSI旅費補助に感謝してーー
今回、JIUSSIの渡航援助をいただき、2018年8月5日から10日にグアルジャで開催されたIUSSI (国際社会性昆虫学会)に出席させて頂きました。このような機会を与えて頂いたJIUSSIに深く感謝いたします。
ーIUSSI2018は、私にとって2度目となる国際学会であった。4年に一度の開催ということで多くの社会性昆虫の研究者に会える機会を楽しみにしていた。しかし実際は、ブラジルの遠さと治安の悪さから、無事に辿り着けるのか、安全に過ごせるのかという不安が大きかった。ブラジルへは、エチオピアで乗り継ぎをした。数時間であったが、アフリカの地におり、その雰囲気には想像以上の不安を感じたというのが正直な感想である。何とか無事にブラジルに到着し、会場であるグアルジャへ向かった。
8月のブラジルは、冬にあたるが、晴れた日は蝶が飛んだり、頑張れば海に入れるくらい大変過ごしやすい気候であった。ただし、なぜか室内は冷房が効いていたり、雨の日はとても寒いので、防寒は必要である。
会場付近ではたくさんのヒアリの塚を見ることができた。一匹くらい刺される経験しても良かったと後悔している。
多くの日本人が時差ぼけに苦しむ中、極度の緊張のせいか、時差ぼけをあまり感じることなく、過ごせたのは幸運であった。自分の発表は、“Ant circadian activity rhythms vary with social context and age”という題でポスター発表を行った。社会性昆虫の時間生物学の権威であるGuy Bloch 氏ともお話できた。
IUSSIに参加するにあたり、Inactive antについて精力的に研究されているDaniel Charbonneau氏とデジタルツールを用いた詳細なデータから個と集団がどのように統合されるのかを研究され、数多くの論文を出しているOfer Feinerman氏とはお話したいと思っていた。カイピリーリャ(ブラジルで有名なカクテル)の力を借り、突撃してみたが、お二人とも大変優しく、最近の研究のことを紹介くださったり、研究への助言をいただいた。英語が下手でも友好的に話してくれる方ばがりであるため、積極的な姿勢が大事であることを身を以て経験できた。
東大の駒場セミナーで、10月にLaurent Keller氏、6月に佐々木崇夫氏に東京大学でセミナーをしていただき、ブラジルで再会を果たすことができた。特に佐々木氏はアメリカを拠点に集団行動の研究をされており、多くのご友人をご紹介いただき、感謝している。オーストラリアで研究されているYuri Ogawa氏からは、海外での研究生活についてお聞きできたことも嬉しく思う。
今回のIUSSIへ参加した日本人女性は、Ogawa氏と私だけのようで、心細い思いをしたことも報告したい。学会の参加者には、女性研究者も数多くおり、男女比を気にする場面はなかった。日本での女性研究者の少なさは、重要な課題であることを痛感した。
学会最終日は全体懇親会で締めくくられた。ディナーが始まったと思えば、すぐにバンド演奏が始まりダンスパーティーへと移行した。日本の懇親会との雰囲気は全く異なり、国際学会の懇親会の中でも”はっちゃけた”部類であることは確かだろう….
学会最終日の翌日は、早朝から Bird watchingツアーへ参加した。
ほとんどの参加者は社会性昆虫の研究者であるため、空より地面を見ていたのは言うまでもない。私自身も鳥は一羽も観察しなかったが、Neoponera sp. (apicalisの可能性が高い) に会えたことが最高の思い出となった。一緒に参加した、シロアリ研究をしている同期の小口氏と岡田氏は朽木を片っ端から調べていた(正確には割っていた)。ツアーの後半、大きな朽木にNeoponera sp. の巣を見つけ、Broodや羽アリの姿も観察できた。トゲオオハリアリよりやや体サイズが大きいが、形態に類似しており、行動も似ていた。
滞在中のほとんどの時間をホテルの中で過ごしたため、ツアーでは、ハキリアリや多くの昆虫を観察することができ、やっとブラジルの自然を感じることのできた1日であった。その後は、サンパウロ市内で、本場のシュラスコを食べ、帰路についた。帰国後、1週間程度は時差ぼけがひどく、同研究室助教の植松氏と苦しい日々を過ごしたことも、良い思い出である。